第4話「鬼の名を持つ守護者」


―2010年7月1日木曜日午後7時59分―

VES開発室。峯島は、目の前にいる三体のロボットをじっと見つめていた。

「……鬼、か……彼の言葉をそのまま再現したような姿だな……」

峯島の言うように、そのロボット達は角を生やしており、鬼の名にふさわしい外見を持っていた。

「長官、何してるんですか?」

そこに、男の声が峯島に声をかける。
振り向くと、そこには霧山が立っていた。

「霧山副官か。調整ご苦労」

「メカニックもしてますから。おかげで昼は眠いですけど」

霧山が苦笑をもらす。
そんな霧山を見て、峯島は小さく笑う。

「しかし、正義(まさよし)もまた何で彼らを作ろうとしたんだ?」

「……彼の志を、引き継がせたかったからだ、武蔵(むさし)」

「それが、償いになるとでも?」

「ただの、自己満足かもしれないがな……」


第4話「鬼の名を持つ守護者」

―2010年7月19日月曜日午前10時8分―

街の中に響く轟音、
「ハハハハハハハハハ!!」
嘲笑い、
「おおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
叫び、
そして再び轟音。
街では、ブレイグの配下である神獣ヤーラルがヴィザリオンらVESの勇者達と戦っていた。
「ハァァッ!」
「エナジィィィィッ、インパクトォッ!!」
二人の攻撃がぶつかり合い、激しく建物を震わせる。
「ヴィザリオン!」
「白虎神!」
そこに、白虎神が眼にも止まらぬ速さでヤーラルに向かって駆け、
「幻っ!!」
残像を残しながらヤーラルを武器である牙と刀で切り裂いた。
「ぐあぁっ!」
その衝撃により、ヤーラルは後方へと吹き飛んでいく。
「ハッ!」
「ッ……!」
二人はが構えを取る。
「ぐっ……俺は、こんな所では倒れん! くらえ!!」
「!!」
ヤーラルはその姿に怒りを感じ、全力でエネルギーを発射した。
決して遠くない距離のため、二人はその攻撃の犠牲になる…
「おりゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「はぁぁぁぁぁ!!」
かと思われたが、
「何っ!?」
エネルギーは1体の角の生えたロボットによって威力を半減され、もう1体の角の生えたロボットによって完全に塞がれてしまった。
「馬鹿な……俺の最大の攻撃を防ぐなんて……!」
「受けろ! スピードッ、シューートォ!!」
「!?」
ヤーラルが驚いていたその時、上から何者かの声が聞こえ、エネルギー弾が矢のように降ってきた。
「ぐあぁぁぁっ!?」
当然ながら、攻撃を受けてしまうヤーラル。
「今だ、ヴィザリオン!」
「ああ!」
そのロボットに促され、ヴィザリオンは改めて構えを取る。
「スタァァ、リィィィジョンッ!!」
ヴィザリオンは腕を空に突き出し、スターリージョンと叫んだ。

リージョンスターはヴィザリオンの近くまでやってくると、機体を十に分ける。
そのうち、内側を形成していた五つのパーツはヴィザリオンの左腕と結合し、フィニッシュスターとなる。
残りの五つのパーツ―ホールドスター―がフィニッシュスターと結合し、ヴィザリオンはそれが終わったのを確認するとジルアに向かって再び構えた。
「ホォォォォォルドッ、リィィィィィジョンッ!!」
ヴィザリオンが左腕を思い切り突き出すと、ホールドスターが左腕から分離し、ヤーラルを捕らえる。
そして、ホールドスターは鋭角部分から特殊エネルギーを発生させ、ヤーラルの自由を封じた。
「ぐあっ!」
「はぁっ!」
ヴィザリオンが左腕を少し引くと、ホールドスターとフィニッシュスターの間に糸のようなレーザーが張られた。
「ヴィクトリィィィィィッ!!」
そして、ヴィザリオンはその糸に引っ張られるようにヤーラルに向かって地表を滑空しながら突進し、
「フィニィィィィィッシュゥッ!!!」
左の拳をヤーラルに向かって思い切り突き入れた!!
「!!?」
ヤーラルは声も上げずに苦痛を受け、
「ぐ……ぐあぁぁぁぁぁぁっ!!!」
そして蓄積されたダメージに耐え切れず爆発、四散した。
「俺の……勝利だ!」

「助かった。ありがとな、オーガチーム」
ヴィザリオンは、自分たちを助けてくれた三体の角の生えたロボットに向かって礼を言った。
オーガチーム。それが彼らに与えられたチーム名。
彼らは鬼の名にふさわしく、頭に角を生やしている。だが、鬼の名がついてるとは言ってもやはり勇者。平和のために戦う者なのだ。
「いいっていいって。同じ仲間なんだからよ」
そのうちの1体、ヤーラルの攻撃を半減したロボットが親指を立てるサインと笑顔を見せる。
「当然の事だ」
ヤーラルにエネルギー弾の雨を降らせたロボットは、クールに答えた。
「私は、いえ、私達は『ヴィザリオンと白虎神のサポートをする』と言う指令を実行しただけです!」
ヤーラルの攻撃を防いだロボットが敬礼をする。
「そんな固くしなくてもいいでしょう、オーガディフェンダー」
「いいえ、私はまだ新入りの身! 先輩である二方には敬意を表しなければなりません!」
オーガディフェンダーと呼ばれたロボットは白虎神の言葉も聞かず、再び敬礼した。
「やっぱり固てぇな、ディフェンダーは」
そこに水を差すように、最初のロボットが割り込んできた。
「ファイターこそ、二方に敬意を表した方がいいのでは?」
「そうだな、俺やディフェンダーはともかく、お前は多少問題あるからな」
「う、うっせーよ、スピーダー!!」
ファイターと呼ばれたロボットを皮切りに、三体のロボットが口ゲンカしあう。
「やめろ! オーガディフェンダー、オーガファイター、オーガスピーダー!」
しかし、その口ゲンカをヴィザリオンが静止した。
「ちっ……」
「まったく、同じチームだというのに何で普段はこうなんだ……?」
そう言ってヴィザリオンが頭を抱える。
「とにかく、VESに戻るぞ。ケンカするなら、その後にしてくれ」
「了解しました!」
「了解」
「りょーかい」
五人はVESに戻るため、その場を離れようとする。
「ねえ!」
その時であった。
「?」
突然、誰かに呼ばれた気がして、オーガチームである三人は立ち止まった。
辺りを見回すと、自分の足元に一人の少年がいた。
「君、逃げなかったのですか?」
「逃げたんだけど、もう終わったみたいだから、走って帰って来たんだ!」
少年が嬉しそうに話す。
「おいおい、まだ危険かもしれないのに、勝手に戻ってきたらいけないだろ?」
オーガファイターがあきれたように、しゃがみこんで少年を指差した。
「ごめんなさい……」
「今度から気をつけるんだ。下手すれば命に関わる」
素直に謝る少年に、オーガスピーダーは注意を促した。
「はーい」
「どうしたんだ?」
そこに、様子に気づいたヴィザリオンが話しかけてくる。
「いや、子供が一人避難所から戻ってきたみたいなんです」
「子供?」
「心配しなくていい。俺達が何とかする」
「あ、ああ……」
スピーダーの言葉に甘え、ヴィザリオンと白虎神はそのままVESへと帰還していった。

「さて……君、名前はなんと言うのですか?」
ディフェンダーが改まって少年に質問をする。
「僕は大達 仙太(おおだち せんた)!」
「年は?」
「10歳!」
「どこの避難所から来たんだ?」
「ファイター、それはあそこの学校の体育館に決まってるじゃないですか」
ファイターの質問に厳しい指摘を入れるディフェンダー。
ファイターはしばらく硬直で沈黙した後、人間だったら顔を真っ赤にする勢いで猛反論した。
「し、知ってたってそれぐらい! 今のはわざとだよ、わざと!」
「嘘を言うな、嘘を」
「嘘じゃねーよ!」
再び言い争いになる。
そんな光景を、仙太は少しあ然として見ていたが、
「……プッ、あははははははは!」
オーガチームの姿がこっけいに見えたのか、吹き出して思い切り大声で笑った。
「!?」
「あははは……何か、面白いね!」
仙太が笑顔を見せる。
「面白い……?」
「うん、面白い! ロボットってもっとマジメかなって思ったんだけど、友達と話してるみたいで楽しいよ!」
楽しそうに話す仙太。
彼の瞳はまぶしすぎるほどに透き通って、輝いていた。
「友達みたい、ですか……」
「それは当然だな。何せ我々にはどのコンピュータよりもはるかに優れたAIを搭載しているのだからな」
スピーダーが説明をするものの、仙太には分からなかったみたいで仙太は頭に疑問符を浮かべていた。
「うぅ~………」
「わ、分かりませんでしたか?」
黙ってうなずく仙太。
「……か、簡単に言うとだな、我々の中にはものすごいコンピュータが入っているのだ。そのコンピュータが、我々に感情を与え、こうやって会話が出来る」
仙太が何とか理解できるよう、スピーダーは自分の知識で分かりやすいと思われる説明をするが、仙太はまだ納得できないようだ。
「と、とにかく、私達は人間と同じように話す事や笑う事が出来る。それだけでいいじゃないですか」
「難しい事なんか考えなくてもいいぜ」
「……うん!」
仙太がようやく笑顔に戻る。
「そうそう、そうやって笑ってる方がいいぜ」
その言葉と共に、ファイターも笑顔になる。
それにつられたように、スピーダーとディフェンダーも笑顔になった。

―7月某日とある時刻―

聖なる宮殿ゴッドパレス。
「………………」
ブレイグは何もないその場で、腕を組みながらじっとしたまま何かを考えていた。
―破壊をするんだったら、まず第一にあの邪魔者を倒した方がいいと思うけど?
以前にアルディアに言われた事を思い返しているのだ。
(邪魔者を倒すなど、破壊と同時進行で十分! あんな奴らに手間など……)
「そんな事を考えているから、どっちつかずになって負けるんじゃない?」
「!!?」
自分が考えていることに対して、突然後ろに現れたアルディアに言葉を返されたブレイグ。
それに驚き、飛びのくように振り返って後ろに下がった。
「人の心を覗くとは、趣味がよくないなアルディアも」
すました様に立っているアルディアに向かって、穏やかにかつ怒りを交えて反論する。
「そっちが勝手に思念を送ったから聞こえただけ。それより、早いところ何とかしないとこのままだとこっちの考えている最悪の結果になる」
アルディアは、そんなブレイグに態度では全く反応を見せない。
「そんな事は分かっている。だからこうして考えて……」
「だったら、こんな作戦を使ってみたら?」
「………………?」
アルディアはブレイグに自分の考え出した作戦を話した。
「……フン、参考程度にしておこう」
ブレイグはそれを聞き終えると、マントを翻してその場から去っていった。
「一体、何を吹き込んだのだ?」
そこに、どこかで聞いていたのか、ゼイヴァがアルディアの横に現れる。
「ブレイグに合った、ちょっとした提案。それを使うかどうかは勝手だけどね」
アルディアはとぼけたようなふりをして、ブレイグ同様その場から去る。

―7月25日日曜日午後2時47分―

全国のほとんどの小学校から高校が夏休みに入ってから数日たったその日、6日前の戦闘と同じ街に神獣は現れた。
「グゥゥ……」
その神獣ヴィードは、今までの神獣とは違い理性を持っておらず、ただ破壊活動を行なっているのみの文字通り獣であった。
「ガァァァッ!」
ヴィードは雄叫びを上げると同時に腕を振り下ろし、ビルを破壊する。
口から炎を吐き、街を焼く。
街はすでにパニックと化していた。

―7月25日日曜日午後2時51分―

『みなさん、落ち着いて避難してください!』
人々は神獣の攻撃から逃れるため、以前にも避難した学校の体育館へと向かっていた。
「仙太、お母さんと離れちゃダメよ!」
「うん!」
当然、その中にはオーガチームと仲良くなった少年、仙太の姿もあった。
「わぁぁっ!?」
その時、避難する人々の波の前方から悲鳴のような声が上がった。

「アルディアの作戦も使えるな……」
原因は、ブレイグであった。
ブレイグが人々の前に突然出現したのだ。
「な、なん、な、な……」
一番最前列にいたであろう男は、ブレイグの容姿と出現に腰を抜かし、地面にへたり込んでしまっている。
おまけに、頭の中がパニックになってまともに言葉を出すことも出来なくなっている。
「……フン、試しにまずは貴様だ」
「ヒッ!?」
ブレイグは剣を抜き、その切っ先を先程の腰を抜かした男に向けた。
「死んで償え!」
剣を振り下ろし、男を斬り裂こうとする。だが、
「!?」
突然、横方向からレーザーが飛んできてブレイグの剣をはじいた。
「誰だ!?」
全員がその方向に視線を向ける。
そこには、青い装甲に包まれた者ヴィクトリーが、自分の武器である銃ヴィクトリーマグナムをブレイグに向けて構えていた。
「体の使徒ブレイグ! お前の企みは俺が撃ち砕く!」
「その声……ヴィザリオンか! ちょうどいい、人間を抹殺しようと思っていたが、予定変更だ。まずは貴様から抹殺する!」
ブレイグは剣先をヴィクトリーに向けなおし、ヴィクトリーに向かって攻撃を始めた。
「俺がブレイグをひきつける! だから、今のうちに避難を!」
ヴィクトリーは人々に避難をうながし、ブレイグの攻撃をかわしながら攻撃する。
「は、はい!」
人々はその間に、ヴィクトリーに言われたように避難を再開した。
「ヴィクトリー!」
その時、避難する人々からヴィクトリーは名前を呼ばれた。
ヴィクトリーは戦いながらも、その声が聞こえた方を振り向いた。そこには、仙太の姿があった。
(あの子は……!)
「絶対に勝ってね!」
「……ああ! オーガチームにも言っておく!」
仙太の声援を受け、ヴィクトリーは力をもらったような気持ちになった。


「ハァッ!」
ブレイグの攻撃がヴィクトリーに襲ってくる。
しかし、ヴィクトリーはそれを何とかかわし、ヴィクトリーマグナムを撃つ。
「そんな攻撃など、この俺には当たらん!」
それはブレイグにとっても同じ事であった。
ヴィクトリーの攻撃もまた、ブレイグに当たる事が全くなかった。
「くっ……」
そんな滞った戦いに少しばかり苛立ちを感じるヴィクトリー。
「隙あり!」
そのわずかの隙をつき、ブレイグは剣でヴィクトリーの肩を突いた。
「ぐあっ!」
吹き飛ぶヴィクトリー。
「ハァァァァァ!!」
ブレイグは攻撃をやめることなく、目に見えない速さでヴィクトリーを突く。
「うわあぁぁぁぁっ!!」
その猛攻にヴィクトリーは倒れそうになったが、何とか身を翻して地に足をつけた。
「くっ……」
マスクの下で表情をゆがめるヴィクトリー。
「どうした、おしまいか?」
「まだだ!」
ヴィクトリーは勢いよく立ち上がり、
「シャイニングモード!!」
掛け声と共に右腕のヴィクトリーコマンダーのボタンを押した。
すると、ヴィクトリーの装甲が光り輝きだし、ヴィクトリーマグナムの左右が開いてソーラーパネルとなる。
そこからヴィクトリーマグナムはヴィクトリー自身の光をエネルギーに変え、その内部にエネルギーを充填していく。
「何をするつもりだ?」
「受けろ! シャイニング・ノヴァぁっ!!!」
ヴィクトリーはそのエネルギーをブレイグに向かって一気に放出させた!
「ぐわぁぁっ!!?」
突然の事だったため、エネルギーが自分に向かってくる速度が速かったため、ブレイグはそれをよける事が出来ず、吹き飛んでしまう。
「ぐっ……!」
ブレイグが吹き飛んだあと、ヴィクトリーの装甲の光は消え、ヴィクトリーマグナムも元の状態に戻った。
だが、同時にヴィクトリー自身に激しい疲労感が襲ってくる。
シャイニングモードは、能力を引き上げる代わりにヴィクトリーである勝の体力を激しく消費させるのだ。
「ぐ……ぅ……!」
その時、ブレイグがうめき声を上げながらゆっくりと立ち上がった。
「くっ……!」
ヴィクトリーも、次の戦闘に備えて再び構えを取る。しかし、次に攻撃を放ってこられたら、正直無事でいられる自信がなかった。
「な、何故こうも俺達は阻止される……!?」
だが、ブレイグは疑問ともいえる捨て台詞を吐き、その場から消えた。
「………………」
ヴィクトリーはそれに何とか安心し、先程のダメージと疲労感からその場に座り込んでしまった。
「……くそっ……!」

―7月25日日曜日午後3時2分―

ヴィクトリーがブレイグと戦っていた一方、白虎神となった神威とオーガチームはヴィードと戦っていた。
「そっち注意するんだ!」
オーガディフェンダーの声が飛ぶ。
ヴィードは、オーガファイターに向かって突進していた。
「まかせな! ファイティングドリルッ!!」
オーガファイターは動じることなく、己の武器であるドリルをヴィードに向け、
「おぉりゃあぁぁぁぁぁ!!」
突進してくるヴィードにドリルを思い切り突きこんだ。
「ガァッ!」
「ぐぅっ!」
ヴィードとオーガファイターは同時に吹き飛び、オーガファイターは倒れてしまうもののすぐに立ち上がる。
ヴィードもまた、倒れたのだがこちらもすぐに立ち上がった。
「大地の牙!」
それと同時に白虎神が牙の形をした武器を構え、
「牙っ! 砕、斬っ!!」
「ガァァァッ!!」
ヴィードの頭から牙を叩き込み、下へと引き裂いた。
ヴィードはそのダメージに苦しむが、
「ガァァァァァッ!!」
「何っ!?」
ヴィードはすぐさま炎を吐いて白虎神を襲う。
「くっ!」
白虎神はとっさに防御したが、ダメージはある。
「白虎神!」
ヴィードの攻撃はやむことなく、白虎神にダメージを与え続ける。
「スピードッ、シューートォ!!」
そこに、オーガスピーダーの攻撃が横からヴィードにヒットし、ヴィードはバランスを崩して白虎神への攻撃を止められてしまった。
「攻防一体! ディフェンス・トンファー!!」
同時にオーガディフェンダーが消防車のはしごで出来た武器を使いヴィードに打撃を与える。
「やったか!?」
「いや、油断はするな!」
白虎神の言うとおりであった。
ダメージは受けているものの、ヴィードはまだ戦える状態である。
と、その時、ヴィードは何かを発見し、その方向へと歩を進めた。
「何だ?」
全員が疑問に思うが、次の瞬間にはその疑問は解決した。
「! まずい! 急いで止めるんだ!」
「了解!」
白虎神の指示を受け、オーガチームがそれぞれの武器を手にしながらヴィードの前に立つ。
「これ以上先へは進ませないぜ!」
「人々を守るのが我々の使命」
「だから、私達が守ります!」
自分自身に言い聞かせるような言葉を口にしたあと、一斉に攻撃を開始した。
「おりゃぁっ!!」
「はっ!」
「はぁぁっ!!」
それぞれの攻撃がヴィードにヒットする。
「ガアァァァァッ!!」
ヴィードも負けじと、オーガチームに向かって炎を吐き出した。
「ハッ!」
しかし、オーガディフェンダーが前に出て、自分の武器で炎から自分たちを防ぐ。
「私は防御の戦士! 特に炎からは防がなければならない!」
オーガディフェンダーの言葉と共に、オーガスピーダーがオーガディフェンダーの上から現れ、
「受けろ! スピードッ、シューートォ!!」
以前と同じようにヴィードに向かってエネルギー弾の矢を降りそそがせた。
「グァァッ!」
苦しむヴィード。
「俺は高速の戦士。攻撃の隙は作らない」
スピーダーの言葉が終わると、今度はオーガファイターが上から目の前に着地し、
「くらえ! ファイティングドリルッ!!」
ドリルで再びヴィードを攻撃した。
たまらず、ヴィードは後ろによろめき、倒れてしまった。
「そして俺は攻撃の戦士! 俺の攻撃で貫けないものはない!」
「それは少し間違っているな」
オーガファイターの言葉に指摘を入れるオーガスピーダー。
「べ、別にいいじゃねーか! 少しぐらい誇大にしても!」
「二人とも、口ゲンカは後にしてください! 次の攻撃が来ます!」
オーガディフェンダーの言うとおりであった。
ヴィードはあれだけのダメージを受けながらも、まだ立ち上がってオーガチームに立ち向かおうとしていた。
「幻っ!!」
そこに、白虎神が残像を残しながらヴィードに向かって走り、武器である牙と刀で切り裂いた。
あまりにも不意打ちだったため、ヴィードは再び倒れてしまう。
「白虎神!」
「助かった、礼を言う」
「礼を言うにはまだ早い。今のうちに……何っ!?」
白虎神が構えを取って次に移ろうとしたその時であった。
「ガァァァァァッ!!」
「ぐぁぁっ!!」
突然、ヴィードが白虎神の目の前に現れ、腕を振るって白虎神を吹き飛ばした。
白虎神はあまりに突然の出来事だったため、防御する事が出来ずにそのまま攻撃を受けて倒れてしまう。
「くっ……」
「何てタフな奴なんだ! あれだけの攻撃を受けてもまだ戦えるなんて!」
正直、オーガチーム達にも焦りが見え始めていた。
「グオォォォッ!!」
その時、ヴィードが雄叫びと共に炎を白虎神とオーガチームに向かって吐き出した。
「!!」
とっさに前に出て防御するオーガディフェンダー。
しかし、ヴィードはその炎を止めようとはしない。むしろ、だんだんと強さは増していく。
「ぐっ……!」
「こう炎が強かったら、攻撃に転じることも不可能だな……」
オーガディフェンダーは防ぐだけで手いっぱいになり、他の三人も攻撃に出る事が出来ず、手詰まりとなってしまった。
「ぐぅっ……!」
オーガディフェンダーが先程よりも苦しげにうめき声を漏らす。
「大丈夫か、オーガディフェンダー!?」
「あと、数分といった所でしょうか……!」
弱気な発言。全員の中に一瞬絶望の雰囲気が流れた。

「ウイング、スラァァッシュ!!」
「グァァァッ!」
「!?」
そこに、何者かの声と同時に斬り裂かれる音が聞こえ、ヴィードがうめき声を上げて倒れた。
全員が驚いて顔をのぞかせると、そこには右腕の翼を振りかざしているヴィザリオンの姿があった。
「ヴィザリオン!」
「みんな無事か!?」
「何とか! あと数分ほど遅かったらどうなっていたか……」
「待たせて悪い。さあ、今のうちに、オーガチーム!」
「はい!」
全員の中にさっきまで無かった活気があふれ出す。
「行きますよ! ファイター、スピーダー!」
「オッケー!」
「了解」
オーガチームがオーガディフェンダーの言葉であるフォーメーションをつくった。
オーガファイターが一番前に立ち、続いてスピーダー、ディフェンダーと縦に並ぶ。
「パターン3、スタート!」
「おぉぉりゃあぁぁ!!」
オーガファイターが合図と共にヴィードに向かって駆け出し、武器のドリルでヴィードを真上に吹き飛ばした。
「はあぁぁぁぁ!!」
続けてオーガスピーダーがオーガファイターの上に飛び、目の前のヴィードに向かってエネルギー弾を撃ち込む。
相当のダメージを受けたヴィードは、そのまま後方へと落ちていった。
「おぉぉぉぉぉ!!」
そして、ヴィードが落下するであろう地点にオーガディフェンダーは真っ直ぐ走り出し、
「トライッ、オーガ、ブレイィィィィィクッ!!!」
落下してきたヴィードに向かって武器を思い切り叩き込んだ!
「グ……グアァァァァァァッ!!!」
蓄積されたダメージに耐え切れず、ヴィードは悲鳴を上げて爆発した。
「例え鬼となっても、人々は守りぬく……!」

―7月25日とある時刻―

聖なる宮殿ゴッドパレス。
「ぐっ……!」
そこに、傷ついたブレイグが帰還してきた。
「手負いか……」
「と言う事は、失敗したってわけか……」
ゼイヴァとアルディアは、その姿をあきれたような目で見る。
「不覚を取った……」
「まあ、いい。お前はゆっくりと休んでいろ。しばらくは私が代わろう」
「くっ……!」
ブレイグはゼイヴァの言葉に怒りを感じだが、今はそれよりも受けた傷を治す事が先決だった。
仕方なく、奥の方へと体を引きずっていく。
「何とも情けないな……」
「仕方ないよ。あれだけの傷だしね。全治3神月といった所かな?」
「……あいつの分も、私がこの手で……」
ゼイヴァは拳を握りしめ、体を引きずるブレイグを見つめた。

―7月25日日曜日午後4時0分―

仙太のいる避難所。
「………………」
仙太は、体育館の外に出て遠くにいるオーガチームをじっと見つめていた。
「あっ!」
その時、オーガチーム達が自分に向かって手を振ってくれた。
その事に嬉しくなった仙太は、笑顔で大きく手を振った。
オーガチームがその場から去るまで、ずっと…

To be continued…


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この剣の力、見せてやる!

勝達五人が手助けをした一人の女性。彼女は、子供を身ごもっていた。
元気な子供が生まれるようにと、祝辞をかける五人。
だが、その数日後、ゼイヴァは無情にもその女性がいる病院を襲わせた。
病院を守ろうとする勇者達。しかし、攻撃がやむ事がない。
その時、ヴィザリオンに新たな力が与えられる。

勝利勇者ヴィザリオン 第5話「鳳凰の剣」

君たちのその手で、勝利をつかめ!

初回公開日:2002年7月29日

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