第9話「一角獣の砲撃」


―2010年9月7日火曜日とある時刻―

聖なる宮殿ゴッドパレス。
いつも集まっている場所に、完治したブレイグは姿を現した。

「やっとの回復か、ブレイグ」

「俺のいない間にも随分と行なっていたようだが、未だに人間どもが生きているという事は、成果は上がってないようだな」

ブレイグは、完治した早々からゼイヴァに皮肉を言い放つ。
だが、これはすでに二人の仲では挨拶のようなものになっている。だから、互いにあまり気にしてはいない。

「だが、少なくとも今までの力押しの作戦では、おそらく勝てないぞ」

「それは百も承知だ。今度からの俺は、今までの俺ではない事を見せてやる」

「うまくいくといいがな」

「そう後ろ向きに考えていると、出来るものも出来なくなるぞ」

そう言い残すと、ブレイグはその場から姿を消した。
ブレイグがいなくなった後、ゼイヴァがあきれたようにため息をつく。

「何故、奴らは我々を上回る事が出来る? 最初は油断というのもあるが、最近は追い詰める事は出来てもその後が続かない……」

ゼイヴァは頭を手で押さえた。
自分の考えてる事に、わずかながらでも嫌気が差したのだろうか。

「……決着をつける時は、意外に近いのかもしれないな……」

ゼイヴァは再びため息をつく。

そして、その姿をアルディアは柱の陰に隠れながら見ていた。


第9話「一角獣の砲撃」

―2010年9月10日金曜日とある時刻―

「……俺の知らないうちに、随分と奴らも強くなってるようだな」
ブレイグが文句の一つでも言いたそうな顔をしてゼイヴァを見た。
その様子から察するに、ヴィザリオン達との戦闘で負けたようだ。
「だから、勝てないと言ったのだ」
「それもこれも、お前の責任だろうがっ!!」
「ぐっ……」
ブレイグの言う事ももっともである。
今回の戦闘も、もし以前のヴィザリオン達ならば負けていた可能性があった程、かなりの強さを誇る神獣を出していた。
それにもかかわらず、見事に惨敗してしまった。
理由は色々とある。以前より向上したチームワーク、オーガガーディアン、そしてフェニックスブレイド等…
「し、仕方ないだろう。何せこちらがより強化した神機を出せば出すほど、奴らも強化してくる」
「ならば、持てる力を全て……待てよ……」
ブレイグがゼイヴァの反論に、さらに言い返そうとしたその時であった。
突然、何かを思いついたらしく、ブレイグは急に黙り込んで何かを考え始めた。
「……そうか……なら、こうすれば……」
「………………」
その姿を見て邪魔してはいけないと思ったのか、ゼイヴァはその場から去っていった。
「勝てる……! これなら、勝てる! 見ていろ、勇者ども!」
そして、一人残ったブレイグは、思い切り笑い声を上げた。すでに戦いで勝利したかのように…

―9月11日土曜日午後12時19分―

VESヒュージトレーニングルーム。
ここで、あるマシンがヴィザリオンの手に抱えられて試運転されていた。
『それじゃ、開始しよう』
「了解」
ヴィザリオンがそのマシンを持ち直す。
『今回はテストだから、間違っても誤射はないけど一応シミュレーターで手ごたえや反動などは本物と同じようになってるから』
「わかっている。俺だって、それなりの覚悟はしている」
『なら、スタートしよう』
霧山の言葉と同時に、ヴィザリオンの目の前に立体映像の神獣が1体現れた。
『ユニコーンキャノンテストシミュレーション、まずは通常攻撃から。撃ってみて』
「了解」
霧山に言われたように、ヴィザリオンはそのマシン、ユニコーンキャノンを構える。

ユニコーンキャノンは、その名のとおりユニコーンの姿を模した大砲である。
フェニックスブレイド同様、ヴィクトリーウェポンの一つでNo.1のリージョンスター、No.2のフェニックスブレイドに続くNo.3だ。
今回、機体が完成したのでそのテストを行なっている。
ちなみに、前回のフェニックスブレイドも本来ならテストが行なわれるはずだったのだが、テストを行なう前に使用してしまったのだ。

「照準、セット……」
ヴィザリオンは立体映像の神獣に照準を合わせ、
「発射!」
ユニコーンキャノンからエネルギー弾を発射した。
バシュゥッ!
エネルギー弾は神獣を貫き、映像をゆがませてかき消す。
『……うん、オッケー。次は………』

―9月11日土曜日午後12時51分―

『……お疲れ様。もう終わっていいよ』
霧山の言葉を聞いて、ヴィザリオンはユニコーンキャノンを降ろし、合体を解いた。
そして、ヴィクトリーこと勝はヴィザーから融合を解き、地上に降り立った。
「ふぅ……」
勝は一息つくと壁に寄りかかり、そのまますべるようにその場に座り混む。
シミュレーションとはいえ、あまりなれない武器を使用したので疲れたのだろう。
「ユニコーンキャノンを使ってみて、どうだった?」
「使い勝手は悪くない。あとは使いこなせるまでやってみるさ」
「そう、頑張ってね」
勝は、返事をする代わりに軽い笑顔を見せた。
「……ところで、副官」
しかし、すぐに顔を引き締めると、改まって霧山の方を向く。
「ん?」
「新たに武器を作る必要ってるのか? 今使っているフェニックスブレイドだって、十分に強い。それに、神威やオーガチームと連携を取れば……」
どうやら、勝は新たに武器を作る理由が分からないらしい。
「別に、僕は不必要なものを作ったつもりはないけど……」
そういいながら霧山は苦笑する。
「いや、俺はそういうつもりで……」
「まあ、確かに、武器とか結構多くなってきてるけど、どれも決して不必要じゃないように造ってあるから」
「だけど……」
「例えば、ヴィクトリーブラスター」
勝の反論を言葉でさえぎり、霧山は話し始めた。
「ヴィザーは格闘しか出来ないから、どうしてもやや力が劣る場合がある。そのため、強力な一撃を与える事が出来ない」
「………………」
「そこで造ったのが、ヴィクトリーブラスター。内蔵したエネルギーパックの全エネルギーを消費して相手に圧倒的な一撃を与える。威力は強大だが、そのために弾数は1発しかない」
霧山の説明を、勝は黙って聞いていた。
何気なく使っていた武器だったが、こう話されるとそのありがたみと言うものを、改めて実感する。
「まあ、ヴィクトリーブラスターも結構前に造ったものだから、ちょっと限界が来始めてるけど」
霧山は再び苦笑した。
「フェニックスブレードだって、ヴィザリオンが得意とする格闘から剣にする事によって、拡散する威力を集中させて、攻撃力を向上させてるしね」
「という事は、ユニコーンキャノンも何か理由が?」
勝が、改めて最初のと同じ意味を含めた質問を霧山に投げかける。
「まあ、それは実践になればわかると思うよ」
すると、今度は怪しげな笑みを浮かべる霧山。
「………………」
その表情を見て、勝は少し不快な気持ちを覚えた。

―9月14日火曜日午後2時18分―

神奈川県横浜市桜木町。
「フハハハハハハハ! 美しい、何とも美しい光景なんだ!」
轟く爆音と、嘲笑。
立ち並ぶ建物の中に、神獣バリードがいた。
バリードは次々と建物を破壊しながら、街の中へと進んでいく。
「ハァッ!!」
「!?」
そこに、バリードに向かって一閃が飛んだかとおもうと、バリードの胸の装甲が斜めに裂けていた。
「貴様の好きな様にはさせない!」
いつの間にか、目の前には神威が刀を構えて立ちはだかっていた。
「ザコが……貴様一人で何が出来る!?」
そういいながら、バリードが神威に向かって電撃を放とうとする。
「第一層、等活地獄っ!!」
「ぐぅぅっ!?」
だが、その瞬間に横から鋭い一撃を受け、よろめいてしまった。
「誰も一人などとは言ってないぞ」
その一撃を放ったのは、他の誰でもない、オーガガーディアン。
「フン……こうでなくてはな……」
オーガガーディアンの姿を見て、何故か不敵な笑みを浮かべるバリード。
「ヴィザリオンが来るまで、私たちで食い止める!」
「承知!」
二人はそんな事も気にかけず、一斉に攻撃を仕掛ける。
「ムンッ!!」
「第二層、黒縄地獄っ!!」
神威は素早く後ろに回りこんで刀を振り下ろし、オーガガーディアンは一瞬のうちに目の前に現れて下から上へ剣を振り上げた。
「甘い!!」
だが、その瞬間、バリードが一瞬身を縮ませたかと思うと、
「ぐぅっ!?」
「っ!!?」
突然、二人は何かに横から攻撃され、吹き飛ばされてしまう。
「くっ……!」
神威はそのまま地面に激突するかと思われたが、身をひるがえして何とか着地する。
「………!」
オーガガーディアンは足に力を込めて、勢いでこれ以上いかないように踏みとどまった。
「何だ、一体……?」
「アレの仕業のようだな……」
見ると、衛星のようにバリードの周りをなにやら小型―とは言っても、2mほどの大きさだが―の無数の機械が回っていた。
どうやら、あの機械が自分達にレーザーなりビームなり撃ってきて攻撃を阻んだのだろう。
「ビットの類だな」
「以前にも、ビットを使用してヴィザリオンの合体を阻んだ事がありましたが、今回は攻撃タイプと来たか……」
「どうした? この私を攻撃するのではなかったのか?」
あざけるように言うバリード。明らかに神威とオーガガーディアンを挑発している。
「くっ……行くぞ!」
神威は、その挑発に乗ってか乗らずか、再び攻撃を仕掛けた。
挑発とはわかっていながらも、何もしないままでは相手の好きに街を破壊させてしまう。そう思った神威は、意を決して立ち向かったのだ。
「ぐぁぁっ!」
だが、結果は先程と同じように、ビットによって攻撃を阻まれてしまう。
「無駄だ……貴様らの攻撃は決して私に届かぬ……! このビットがある限りな……」
「そうみたいだな……だが、」
神威は一瞬バリードを見据えたあと、空を見上げた。
「はっ!」
すると、神威の目の前に1体の青いロボットが空から勢いよく着地した。
そう、ヴィザーだ。
「貴様達の頭が、やっとの登場だな」
「頭、と言うわけじゃないが、待たせたな」
ヴィザーがそういいながらゆっくりと立ち上がる。
「行くぞ!」
そして、構えを取ると、

「ヴィクトリィィィィィッ、フォオォォォォォムッ!!」
ヴィザーは、合体するために思い切り叫んだ。

数分たつかたたないかのうちにヴィクトリーマシンはヴィザーの元へたどり着いた。
ヴィクトリーマシンがヴィザーを囲むように周りを回り始めると、四機の間に特殊な磁場が発生する。

ヴィクトリーマシンが変形を始める。
グランドヴィクトリーの機体が縦に持ち上がり、機体前部が折れ曲がった。
グランドヴィクトリーの左右にあるパネルが開き、上に回転して翼を形成する。
機体後部が下に伸び、つま先が立って足を形成する。
次に、スカイヴィクトリー及びアクアヴィクトリーが変形する。
スカイヴィクトリーの機体後部が持ち上がり、その部分は肩を形成する。
機首が折りたたまれると、下腕を形成した。
アクアヴィクトリーの機体後部が分離し、尾翼が折りたたまれて同じように持ち上がり、その部分が肩を形成した。
そして、機体後部が前へと回転し、機首が折りたたまれ同じように下腕を形成する。
ヴィクトリーマシン三機はヴィザーの前で集結する。
グランドヴィクトリーは胸部から脚部及び翼、スカイヴィクトリーは右腕、アクアヴィクトリーは左腕となって。
そして、グランドヴィクトリーは胸部となる部分が欠損していた。
「はあっ!」
その時、ヴィザーが飛び上がり、ブロック状の形態となってグランドヴィクトリーに結合する。
それと同時にスカイヴィクトリーとアクアヴィクトリーはグランドヴィクトリーと結合し、拳を出現させた。
最後に、アクアヴィクトリーの後部を形成していたパーツは兜となり、ヴィザーの頭と結合する。
そして、フェイスマスクがヴィザーの顔をおおうと、ヴィザーの目に再び光がともり、
「ヴィッ!! ザリッ!! オォォォォォンン!!!」
ヴィザーはヴィザリオンと名乗り、大きく構えを取った。

「ヴィザリオン、気をつけろ」
「?」
合体が完了した直後に、オーガガーディアンがヴィザリオンに忠告をかける。
「奴はビットで自分の身を守っている。うかつに近づけばあのビットにやられる」
「そうなのか?」
「私が二度攻撃を仕掛けましたが……二度ともあのビットに阻まれてしまいました」
「…………………」
それを聞いて、ヴィザリオンはバリードの方に目を向けた。
バリードは相変わらず不敵な笑みを浮かべている。
「だったら、そのビットを壊すまで!」
すると、ヴィザリオンは再び構えを取り、
「フェニックス、ブレェェェイドッ!!」
腕を空に突き出した。

しばらくして、ブレイドフェニックスがヴィザリオンの元にたどり着くと、
「モードチェンジッ!」
ヴィザリオンの二つ目の掛け声によりその姿を変形させる。
首が縮んで頭部が胴体と結合したあと、両方の翼が前に来て、刃となる。
両足がたたまれ、横に広がって鍔となり、尾は持ち手となる。
変形が完了すると、ヴィザリオンは完成された剣を手にし、
「ブレイドッ! ヴィッ!! ザリッ!! オォォォォォンン!!!」
バリードに向かってフェニックスブレイドを構えた。

「行くぞ!」
ヴィザリオンはバリードに向かって思い切り駆け出す。
「行け、ビット達よ!」
それに対抗するため、バリードは自分のビットをヴィザリオンに向かわせた。
バシュッ! バシュッ!
連続で放たれるビットのレーザー。
「!」
そのレーザーの雨をフェニックスブレイドで受け流すヴィザリオン。
「バァァニングッ、フェニィィィィックスッ!!」
続けて、ビットに向かって剣を振り下ろすと、一瞬ではあるが炎が噴き出し、それが鳳凰を形作る。
鳳凰はビットを巻き込み、爆発させた。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ヴィザリオンは次々とビットを壊しながらバリードに近づく。
「はぁっ!」
そして、バリードの目の前までたどり着くと剣をバリードに向かって思い切り振り下ろした。


「な……何……!?」
だが、剣はバリードの左腕に装着された、まるで鉄板みたいな盾に防がれてしまう。
「詰めが甘かったな……」
「くっ……!」
バリードの言葉を聞き、剣を持った手に力をこめて無理矢理にでも叩き斬ろうとする。
「ぐあぁっ!?」
バリードの盾に亀裂が入ると同時に、ヴィザリオンは後ろから攻撃を受ける。
それによってバランスを崩してしまい、
「ハッ!」
「がはっ……!!」
バリードの右腕のキャノン砲に吹き飛ばされた。
「ヴィザリオン!」
すかさずヴィザリオンを受け止めるオーガガーディアン。
「す、すまない……」
「無様だな」
「くっ……」
何とか体勢を立て直すヴィザリオンにバリードが罵りの言葉を吐く。
「だが、シールドを使えなくしたのは褒めてやろう」
そう言いながら、盾を捨てるバリード。
「………ん?」
その時、神威があることに気づいた。
「……ビットの数が減ってない……?」
「何?」
神威の言葉を聞き、すぐに確認するヴィザリオンとオーガガーディアン。すると、確かにビットの数は減っていなかった。
あれだけヴィザリオンが破壊したというのに、これはどういう事か。
「この私が、ビットを破壊される事を考えてないと思ったか」
「……新たにビットを射出したか」
オーガガーディアンの言うとおり、バリードは破壊された分だけ、新たに射出して補充したのだ。
それに、以前に戦った事のある神機を考えると、無尽蔵に射出が可能かもしれない。
「……本当に、近づくことが難しくなったな」
ヴィザリオンは少し悔しそうにつぶやいた。
「だったら、この武装で行きます!」
すると、神威が一歩前に出て、構えを取った。

「現れよ! 四聖獣、『朱雀』!!」
神威は叫びながら手を開いて、思い切り上に突き出す。

VES本部。
「朱雀召喚・コール発動!」
「四聖獣・朱雀、スタンバイ!」
オペレーターである日高の言葉と共に、巨大な鳥の姿をしたマシン四聖獣・朱雀が発進口にセットされ、
「発進!」
その言葉と同時に空を切り裂いていった。

しばらくして、青龍は神威の元へとたどり着くと変形を開始する。
朱雀の翼の下部にあるブースターがスライドして腕を形成した。
足が後ろに上がり、身体に対して一直線になると、爪を収納してつま先を立たせ、脚を形成する。
朱雀の背部には、空洞が存在していた。
「はっ!」
神威は朱雀に向かってジャンプするとその姿を手裏剣の形に変形させ、空洞と結合する。
同時に、腕から拳が出現し、朱雀の首がスライドして前を向いた。
最後に、朱雀の口が開いて中から顔が現れると、
「炎神武装! 朱雀ぅぅぅっ、神っ!!」
神威は朱雀神と名乗り、大きく構えを取った。
朱雀神―神威が四聖獣である朱雀と炎神武装する事によってこの姿になる事ができる。
朱雀神となれば、神威の攻撃力は飛躍的にアップする。

「この武装なら、この技がある! 火炎の刃!」
朱雀神は合体が完了するとほぼ同時に、炎を模した剣を手にした。
「ムン……!」
そして、その剣を腰の位置に持ってくると、そのまま動きを止める。
「……?」
バリードがその姿を不思議そうに眺めていると、
「空っ!!」
次の瞬間、朱雀神が剣を真一文字に横に振った。
すると、剣から横一文字の真空の刃がバリードに向かって飛んでいった。
「ぐぅっ!?」
わずか一瞬の出来事のため、バリードはかわす事も出来ず、ダメージを負ってしまう。
「これなら、近づかなくとも攻撃が出来る」
朱雀神はそうつぶやきながら、再び構えなおして刃を放った。
「ぐぅぅっ!」
再び切り裂かれるバリードの身体。
「もう一撃!」
「くっ……させるか!」
「!!」
三回目の攻撃を行なおうとした瞬間、バリードがキャノン砲を撃ってきたため、朱雀神は攻撃を中止してバリードの攻撃を交わした。
「ビット!!」
そして、バリードはビットを何機か朱雀神に向かわせ、攻撃させる。
「く……!」
「朱雀神!」
朱雀神はビットから放たれるレーザーを何とかかわしていく。
しかし、一向にレーザーが止まないため、全く攻撃する余裕がない。
「オーガガーディアン、朱雀神の援護に回れ!」
「了解……!」
ヴィザリオンの指示に従い、朱雀神の元に向かうオーガガーディアン。
「させるか!」
「!?」
だが、バリードはオーガガーディアンにもビットを仕向け、朱雀神の援護をさせないようにする。
「オーガガーディアン!」
「私達の事はいい。それよりも、奴を倒してくれ」
あくまで冷静な声で、オーガガーディアンはヴィザリオンにバリードを倒す事をうながした。
「……分かった」
ヴィザリオンは少し仕方なくといった感じでうなずくと、バリードの方に向き直った。
「貴様はどうする? 仲間達みたいにビットに追い掛け回されるか? それとも、私に無謀な攻撃を仕掛けるか?」
「………………」
「貴様の攻撃が、全て近接型だというのは知っている。このビットが銃口を貴様に向けている状態で、どうやって攻撃する?」
あざ笑うかのように言い放つバリード。
だが、ヴィザリオンはバリードの言葉に何も答えない。もしかしたら、冷静にその言葉を受け止めているのかもしれない。
「たとえ、近くに寄れなくとも……!」
「?」
「俺には、新たな力がある。とっておきがな!」
「何だと?」
ヴィザリオンの言葉に、逆に表情を変えるバリード。
「見せてやる! この俺の、新たな武器!!」
そういいながら、ヴィザリオンは構えを取ると、
「ユニコーン、キャノォォォォン!!」
腕を空に突き出した。

VES本部。
「ヴィクトリーウェポンNo.3・リージョンスター、スタンバイ!」
日高の言葉と共に、ヴィクトリーウェポンである一角獣型のマシン―キャノンユニコーン―が発進準備される。
「発進!」
そして、キャノンユニコーンは発進口を通り、駆け出していった。

しばらくして、キャノンユニコーンがヴィザリオンの元にたどり着くと、
「モードチェンジッ!」
ヴィザリオンの二つ目の掛け声によりその姿を変形させる。
ユニコーンの首が前に倒れ、胴体から角が一直線になった。
次に、脚が折りたたまれると同時に背中に持ち手が出現し、尾が弓形となって持ち手となる。
変形が完了すると、ヴィザリオンは完成された大砲を手にし、
「キャノンッ! ヴィッ!! ザリッ!! オォォォォォンン!!!」
バリードに向かってユニコーンキャノンを構えた。

「な、何だと……!?」
ユニコーンキャノンを構えるヴィザリオンを目の当たりにし、驚きを隠せないバリード。
「こんな武器、データにない……」
それもそのはず、ユニコーンキャノンはたった今、実戦に投入されたばかりなのだ。
いくら過去の戦闘データを探しても、見つかるはずがない。
「これなら、遠距離でも攻撃が可能だ! 行くぞ!」
ヴィザリオンはユニコーンキャノンの照準をバリードに合わせると、
「発射!」
ユニコーンキャノンからエネルギー弾を発射した。エネルギー弾は真っ直ぐにバリードに向かっていく。
「くっ!」
バリードは、先程のフェニックスブレイドによる攻撃で盾を失ったため、仕方なくビットを盾にしてエネルギー弾から身を守る。
ビットはエネルギー弾を受けると、粉々に砕け散った。
「………………」
思わぬ武器の登場に、バリードは焦りの色を隠せない。
「形勢逆転、だな……」
「まだだ! まだ、勝負は決まっていない! 行け、ビット達!」
バリードは焦ったようにビットをヴィザリオンに仕向けた。
「ハッ!」
だが、何を思ったのか、ヴィザリオンは空中に飛び上がった。
そして、真下からやってくるビット達に向かってユニコーンキャノンを構えると、
「トルネェェドッ、ユニコオォォォォン!!」
再びエネルギー弾を放った。すると、エネルギー弾は幾つにも分かれて螺旋を描き、ビット達を次々と貫いていく。
まるで、ユニコーンがその角で敵を貫くかのように。
ヴィザリオンを追ってきたビットは、その一撃によって全て破壊された。
それを確認すると、ヴィザリオンはゆっくりと地面に着地する。
「………………」
再び絶句するバリード。
「次は……お前の、番だ!」
ヴィザリオンは再びバリードに砲口を向けた。
「くっ……こうなれば……!」
このままでは負けてしまう。そう悟ったバリードは、半分ほど自棄になってある手段に出た。
それは、通常ではありえない量のビットを射出し、全ビットのレーザーをヴィザリオンめがけて撃つ事。
「この攻撃、貴様は耐えられるか!?」
あざ笑うかのように言い放つバリード。
「その言葉、そっくり返させてもらう!」
「ほざけ! 全ビット、発射用意!」
バリードの言葉と同時に、全てのビットがエネルギーを収束し始める。
「ユニコーンキャノンッ!!」
それと同時に、ヴィザリオンが叫ぶと、ユニコーンキャノンもエネルギーの収束を開始した。
「ビットレーザー、発射っ!!」
「ユニコーンッ、バニイィィィィィッシュゥッ!!!」
全ビットがレーザーを発射すると同時に、ヴィザリオンもユニコーンキャノンから、先程の攻撃とは比にならないぐらいに強力なエネルギーを発射した!!
ユニコーンキャノンのエネルギーとビットのレーザーがぶつかり合う。
「ぐぅっ……!!」
「撃ち砕けえぇぇぇぇぇ!!」
だが、ビットのレーザーはユニコーンキャノンのエネルギーに負け、かき消されてしまう。
「な、何っ!?」
そして、エネルギーは勢いを失わず、そのままバリードを飲み込んだ。
「ぐ……ぐあぁぁぁぁぁぁっ!!!」
バリードは悲鳴を上げながら、エネルギーによって消滅する。
「…………………」
ヴィザリオンは、無言でユニコーンキャノンを降ろす。
「ヴィザリオン!」
そこに、朱雀神とオーガガーディアンがヴィザリオンの元に戻ってきた。
バリードが消滅したことによって、ビットが機能しなくなったのだ。
「朱雀神、オーガガーディアン」
「倒したのだな」
「ああ……」
ヴィザリオンは、改めてバリードの消滅した方に向き直ると、いつもの言葉を口にした。
「俺の……勝利だ!」

―9月14日火曜日とある時刻―

聖なる宮殿ゴッドパレス。
「……あんな武器があるとは、聞いてなかったぞ」
ブレイグは今にも激怒しそうな表情をしながら、ゼイヴァをにらみつける。
「それはそうだ。私もあれは初見だ」
「くそ……! まったくもって面白くない……! いったい、いつになれば奴らを葬れる……!?」
ゼイヴァに八つ当たりしても無駄だと分かっているブレイグは、宮殿の柱に向かって拳を打ちつけた。
拳に鈍い痛みが走る。
「ええい、こうなったら奴らよりも先に、人間の全てを破壊する! 奴らなど、その時に倒せばいい!」
「勝手にしろ」
あきれたゼイヴァは、その場から去っていった。

―9月14日火曜日とある時刻―

ゴッドパレスの奥にある神の安息地。ここには、ヴィザリオンとの戦いで傷つき、じっくりと傷を癒すライヴァスがいた。
そんな場所に、アルディアは入ってきた。
―アルディアか。
「傷の方はいかがでしょうか?」
ライヴァスに向かって、特に声のトーンを変えることなく質問するアルディア。
―順調に快方に向かっている。これも、アルディアら三人のおかげだ。感謝する。
「いえ、我々は当然の事を……」
―まあ、それはいい。ところで、この我に何用か?
「……これまで、我々の作戦の結果があまりかんばしくないので、ライヴァス様の助力を得ようと……」
先程の返答がなかったかのように、先程と変わらず淡々と語るアルディア。
―我も、出来ることなら力を分けたい。だが、まだ力を分けられるほど傷は癒えてない。
「……すみません」
―気にするな。もし、力を分け与えられる余裕が出来たら、その時はまた来るとよい。
「分かりました。それでは、失礼します」
アルディアはライヴァスの返事を聞くと、そのまま安息地から去った。
―我も、一刻も早くこの傷を癒さなければ…
そして、ライヴァスは少し悲しげな声で、誰にも聞こえる事がないぐらいの小さな声で独り言を口にした。

To be continued…


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じゃあな、明……

地球の平和を守るために、日夜戦い続けるVES。
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勝利勇者ヴィザリオン 第10話「過去」

たとえ、鬼となろうとも、この手ですべてを守る!

初回公開日:2002年12月25日

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