第14話「幻影なる勇者」


 レクイストの手によって復活したソルダーズとゴルヴォルフ。デストメアの三騎士はそろって破壊活動に出る。
 一方、空人は悪夢に悩まされていた。自分の憧れる、勇者ファイナルの敗北する夢に……
 そして、勇者たちは三騎士と戦うこととなった。だが、その猛攻により勇者は傷つき、倒れてしまう。
 そして、三騎士の手によって止めが刺されそうになったその時であった―

シュッ! ガキィン!!

「ぐっ!?」
 レクイストのヘルズゲート・フルートを『何か』が弾いた。
「!?」
 勇者たちは驚き、その『何か』が飛んできた方向を向く。
「ア、アイツは……!?」
「そんな……!?」
「………………」
 そこにはなんと、もう一人レクイストのロボットがいるではないか。
 いや、正確に言えば黒いレクイストのロボットだ。レクイストのロボットは白いボディだが、そのロボットは漆黒のボディである。
 さらに、レクイストは武器に鎌を持っているがそのロボットは二本の刀を持っていた。
「ぐっ!? げ、『幻影』、いや、『ファントム』、か……」
 その時、レクイストに再びあの頭痛が甦った。そして、ある言葉をつぶやいた。

「ファントム……?」
 勇者たちは改めてその姿を確認した。
 レクイストとは対照的な漆黒のボディに、二本の刀。そして、そのファントムと呼ばれたロボットの手には手裏剣が握られていた。
「忍者のつもりか、アレ?」
 誠也が見たままの印象をそのまま口にする。
「ファントムだかマグナムだか知らねーが、倒せば変わんねぇ! ダークナイトメア!!」
 ゴルヴォルフはすかさずその黒いロボットに対してコウモリのようなエネルギー弾を打ち出した。
「どうだ!」
「危ない!」
 ゴルヴォルフの攻撃はそのままロボットに直撃する……はずであった。
「何っ!?」
 エネルギー弾はロボットを通り抜け、そのまま空の彼方へと消えていった。
「どこを狙っている?」
 ロボットがゴルヴォルフの方を向いた瞬間、
「なっ!?」
 ロボットは2体3体と増え、最終的にはゴルヴォルフを囲むほどの大人数となる。
「ロボットが増えた……?」
「いや、あれは『分身』、高速で動いているために残像が見える現象だ」
 そう、瞬治の説明どおりロボットは高速で動いて残像を見せ、それが増えたように見えているのだ。
「くっそぉ……小細工しやがって……!」
「ハッ!」
 その時、ロボットが手裏剣をゴルヴォルフに向かって投げた。
「!!」
 しかも分身しているので、ゴルヴォルフはどこから投げたのか分からずに混乱している。
「ぐあっ!」
 そうこうしている内に手裏剣はゴルヴォルフの背部に突き刺さった。
「大口を叩くのは勝手だが、実行した後の方が恥をかかなくてすむ……」
 ロボットはそういうと分身を止め、再びゴルヴォルフの前に立つ。
「くそ……」
「ぐっ……ああっ……!!」
 レクイストはロボットの姿を見るたびに苦しんでいた。
「ぐ……も、戻れ……ソルダーズ、ゴルヴォルフよ……」
 そして、レクイストは苦痛から逃れるために決断を下した。
「今更何を……?」
「何言ってんだ? ここまで来て勇者たちを見逃せって言うのか?」
「戻れといってるのだ!!」
「!!」
 レクイストの恐ろしいまでに苦痛にゆがんだ表情に二人は驚く。
「……仕方ない。今回は見逃してやろう」
「だけど、次会った時はお前らの最期だからな!」
 二人は仕方なくレクイストに従うことにし、レクイストと共にその場を去っていった。
「………………」
 しばらくの間、勇者たちはロボットの強さに唖然としていた。
「大丈夫か、勇者たちよ?」
 そして、沈黙を破ったのはそのロボットであった。
「あ、ああ、何とか……」
「一応、回復はしておこう………ムン!」
「!!」
 ロボットが勇者たちに向かって指を出したかと思うと、勇者たちを光が包みこむ。
 そして、次の瞬間には完全に傷が治っていた。
「傷が……」
「全部、治っている……」
「我が能力の一つ、『影転換』。傷を影に転換させる治療術だ」
 そういうと、ロボットは去ろうとする。
「待ってくれ!」
 だが、それをグレートファイナルセイバスターが止めた。
「何か用か?」
「ぜひ、話が聞きたいのだが……」
「……いいだろう。それに話しておかなければならないこともある」
 そういうと、ファントムは勇者たちの方を振り向いて、
「改めて名乗ろう。私はレクイストの幻影、奴は『ファントム』と呼んでいるが」
 改めて自己紹介をした。

 HBFフォースオーダールーム。勇者たちの帰りを待つ石橋と晴香がそこにいた。
「あっ!」
 と、そこに勇者たちが何もなかったように無傷で戻ってくる。
「瞬治君、誠也君、無事だったか!」
「ああ、一時はどうなるかと思ったが、ファントムのおかげで助かった」
「ファントム?」
 瞬治はすかさず後方の戦闘機に向かって指差した。その戦闘機とは、ファントムが変形した姿のことである。
「あの戦闘機がか?」
 石橋が不思議に思いながらファントムに近づくと、突然中から男が現れた。
「っ!!」
 その姿を見て石橋は驚いた。いや、石橋だけではない。その場にいるほとんどの人物が驚いた。
 その姿はレクイストそのものだったからである。
「お前……!?」
「この姿であうのは二度目だな、少年よ……」
 その男は誠也に向かってそういった。そう、以前誠也が発見したのはこの男、もといファントムだったのである。
「驚いたな……君はいったい何なのだ?」
「彼らには話したが、私はレクイストの幻影で奴からはファントムと呼ばれている」
 ファントムは石橋に向かって今日二度目の自己紹介をする。
「幻影?」
「私とレクイストは、もともと同じ存在であった。つまり、私とレクイストは一つの存在だったのだ」
 ファントムは自分のことを話し始めた。
「ファントムも、レクイストだった?」
「そう。だが、レクイストは闇の力を好んでいた。そのため、聖なる意思である私を葬ったのだ」
「じゃあ、なぜここにこうやって存在しているんだ?」
「万物は陰と陽の二つを重ね持っている。私の一部を葬ったとしても、完全に葬ることは不可能だ。レクイストは私を何度も葬ろうとした」
「だけど、結局は完全に葬る事ができなかったんだな?」
「ああ。だが、そのことを悟られるのは私にとって危険だったため、私は人間としてこの星で身を潜めてきた」
「それでこうしてここにいるってことなんだ……」
「勇者たちよ、頼みがある」
 その時、ファントムが突然勇者たちに顔を向けた。
「なんだ?」
「奴を、レクイストをこの世から消してほしい」
「レクイストを?」
「奴は、たとえデストメアが滅びようとも闇を求めて再び地球を襲うだろう。それを止めるためにも、奴を倒してほしい」
「もちろんだぜ! なあ、ファイナル?」
 グランドレオンはやる気たっぷりにこたえる。
「ああ。だが、そうなると君は……」
「もちろん、幻影である私も共に消えるだろう」
「ええっ!?」
 ファントムがいなくなるということを聞き、空人は思い切り驚いた。あったばかりではあるが、それでも空人はいなくなるということがつらいのだ。
「私は幻影、この運命から逃れることはできない。だが、このまま野放しにするのは私の意思が許さない。頼む、奴を、レクイストを……」
「…僕は、人がいなくなるのは嫌だけど、でも悪い人を放っておくのはもっと嫌だ!」
 空人が熱い眼差しでファントムを見つめる。
「だから、だから……」
「俺たちも協力するぜ!」
 そこに、誠也たちも加わってきた。
「俺たちも勇者だ。悪をこのまま放っておくわけにはいかない」
「我々も、勇者を支援するものとしてできる限り協力しよう」
 皆の言葉がファントムの心に深く染み渡る。
「感謝する」
 そして、ファントムは深く頭を下げながら礼を言った。

「ぐ……ファントムめ……」
 レクイストは未だに苦しんでいた。
「やはり、体が聖なる意思を拒んでいる……再び芽生えてきた聖なる意思……」
 レクイストが苦しんでいる理由はファントムにあった。
 ファントムが話したように、レクイストとファントムはもともと同じ存在だった。だが、レクイストは完全なる闇の存在になろうとファントムを捨て、葬ろうとした。
 だが、それは結局新たな聖なる意思が生まれるに連れ激しい苦痛を伴うこととなってしまったのである。
「おのれ……ソルダーズ、ゴルヴォルフよ!」
 レクイストがソルダーズとゴルヴォルフを呼ぶ。すると、闇の中から二人が現れた。
「何のようだ?」
「お前ら二人で勇者を倒してくるのだ」
「やっとその気になったか。さっさとそう言やいいんだよ」
 そういうと、二人はすぐさま闇の中に消えていった。
「く……」
『何をしているのだ、レクイストよ……』
 その時、闇の中から低い声が聞こえてきた。
「ヘルゲイズ様……」
 それはヘルゲイズであった。
『なぜお前が出撃しない……?』
「……申し訳ありません」
『これ以上失態があれば、お前にもそれなりの処分を受けてもらうぞ』
「承知しております……」
 レクイストは闇に向かってひざまずいた。

 再びHBFフォースオーダールーム。

ビーッ! ビーッ!

 地球外地生体出現を知らせる警報がいつものように鳴り響く。
「地球外知生体か!?」
「行くぞ、瞬治、空人! グランドレオン!」
「おう!」
 そして、いつも行動の早い誠也とグランドレオンが一足先に出撃していった。
「ファイナル!」
「ああ!」
 そして、空人も出撃しようとしたその時、
「空人!」
「ん?」
 晴香が突然呼び止めた。
「……頑張ってね!」
 そして、最初のときと同じように空人を応援した。
「? う、うん!」
 晴香の珍しい行動に空人は少し戸惑いつつも、しっかりと受け止め改めて出撃する。
「………………」
「心配なのか、晴香君?」
 心配そうに見つめる晴香に、石橋が声をかけてきた。
「だって……学校で空人が少し元気なさそうだったから……」
「大丈夫、空人君は勇者だ。小学生だが心は強い。勇者を支援するものとして、勇者を信じなければ」
「……はい」
 石橋の言葉で、晴香は少し心配がなくなった。だが、それで完全に晴れたわけではない。
 空人が無事に帰ってくるまで……

 街の中で、ソルダーズとゴルヴォルフが勇者たちをおびき寄せるために街を破壊していた。
「早く来い、勇者どもよ。さもなくば貴様らの守らなければならない街が破壊されるぞ。ククク……」
「オラオラァ! どんどん破壊してやるぜぇ!」
 二人が好き勝手に破壊活動を行なっているところに、
「待て!」
「来たか……」
 いつものごとく、勇者たちが現れた。ただ、今回はファントムを引き連れている。
「好き勝手に街を破壊するヤツラは、お天道様が許してもこのオイラが許さねえ! おとなしく縄につけぃ!」
 誠也がどこかで聞いたような決めゼリフを口にした。
「なんだ、そりゃ?」
「かっこいいだろ? 一度言ってみたかったんだよな~」
「おしゃべりはそこまでだ。行くぞ!」
 そういうと、勇者たちはそれぞれの合体を始めた。

「VALIANT・DRIVE! Come on、THUNDERJET!!」
瞬治はキーワードを叫びながら指を鳴らす。すると空の彼方からサンダージェットが現れた。
サポートメカ『サンダージェット』とヴァリアントの合体が始まる!

サンダージェットの後部、エンジンとなっている部分が左右に分かれる。その左右に分かれたエンジン部分が半回転し、半分から外側が下にさがると上半身を形成した。
上半身の左腕についていた翼が分離して右の翼と結合する。それは『V』の形をしている装飾品となった。
次にサンダージェットのコクピット部分が分離し、機体の前部が戦闘を中心にして前に回転する。完全に前に来ると横についていたパネルが開き、回転の中心となっていた部分を閉じた。
そして前に降りた機体前部が二つに分かれ、爪先が降りると足を形成する。
今まで機体後部の位置の横にあった翼が分離してボディの背中と結合する。
その機体は胸の部分が欠乏していた。
「はっ!」
ヴァリアントがその胸の部分に向かって飛んでいく。するとその姿を変形させて機体の胸へと結合した。
それが終わると同時に機体の腕から手が現れる。
「VALIANT、Let’s go!」(ヴァリアント、行くぞ!)
瞬治がそう言うと機体から顔が現れた。
「雷光合体!!」
ヴァリアントは叫ぶと同時に顔の前で腕を交差させ、
「ヴァリアントセイバスター!!!」
腕を振り下ろし、構えを取ると背中の翼にもう一つ、V字の翼が現れた。

「来い! ウインドホーク!!」
誠也は掛け声と同時にブレスレットのついた左腕を大きく上にかざす。
するとブレスレットが光を放ち、ウインドホークをその場に出現させた。
「クエェェェェェェェェ!!」
ウインドホークは大きく鳴き声を上げると、額の飾りに誠也を収納する。
「レオン・クロス!!」
ウインドホークの中で誠也がそう叫ぶとウインドホークは地上を滑空し、仁王立ちしているグランドレオンの横を通って真上に急上昇した。
グランドレオンとウインドホークの合体が始まる!

グランドレオンが飛び上がると、グランドレオンの顔が収納されて元の獅子の顔になる。そして頭部が胸に移動し、結合した。
ウインドホークは上昇した形のまま、変形を始めた。
ウインドホークの足が分離され、首から頭部が後ろに収納される。そしてそのままグランドレオンの背部と結合した。
次にウインドホークの分離した足は爪が後ろに回転して爪先が現れ、グランドレオンの足の裏と結合する。
「翔獣合体!!」
グランドレオンが叫ぶと同時に体からグランドレオンの時とは違った顔が現れた。そして、
「レオンセイバスター!!!」
レオンセイバスターはファイティングポーズのような構えを取った。

「バーニング・ファイナル・ブレイブ!!」
 空人がキーワードを思い切り叫んだ。
「超火焔合体!!」
 ファイナルセイバスターも同じように叫ぶと、地平線の彼方からバーニングダッシャーが現れた。
 ファイナル最大の合体が、今始まる!

 バーニングダッシャーは機体をバラバラにし、各パーツに分離させる。
 まずバーニングセイバスターの脚部となるパーツはファイナルセイバスターの足と結合した。その瞬間、結合した部分から炎が噴き出る。
 バスター砲は腕と結合し、同じように炎を噴き出した。
 上半身となるパーツは左右に分離し、肩と体の間に挟まれるように結合し、炎を噴き出す。
 最後にバーニングセイバスターの胸の飾りは額に結合した。
「グレート……」
 全ての合体を終えると全身から炎があふれ出し、
「ファイナル……」
 腕を思い切り振り上げ、
「セイバスター!!!」
 勢いよく、そして力強く構えを取った。

「行くぜ! ダークナイトメア!!」
 ゴルヴォルフがすかさずコウモリのようなエネルギー弾を勇者達に向かって放つ。
「サンダーシールド、オン!!」
 ヴァリアントセイバスターは左腕をゴルヴォルフに向かってかざし、電気のシールドで全てのエネルギー弾から勇者たちを守った。
「グレートドラゴンバーン!!」
 素早くグレートファイナルセイバスターが空中に飛び上がり、ゴルヴォルフに向かって赤い光を放つ火炎の弾を撃ち出す。
「ディスペアマグナム!!」
 その弾をゴルヴォルフは黒いエネルギー弾で打ち消した。
「破壊の竜巻、トルネードカッター!!」
 同時に、横からソルダーズの攻撃がグレートファイナルセイバスターを襲ってくる。
「!!」
「レオンクロー!!」
 だが、それをレオンセイバスターが手の甲に装着された爪ではじいた。
「すまない、グランドレオン」
「困ったときはお互い様さ」
 そういうと、レオンセイバスターはすかさずソルダーズの方を向き、
「行くぜ! レオンクロー・ダブル!!」
 両手の爪でソルダーズに攻撃を仕掛ける。
「嵐の防壁、『ストームシールド』!!」
 ソルダーズは剣をかざして嵐を起こし、レオンセイバスターの攻撃を防御した。
「おぉぉおおぉおっ!!」
「何っ!?」
 だが、レオンセイバスターは吹き飛ばされるどころか、嵐の中を突き進んでくるではないか。
「だあっ!!」

ズバァッ!

「ぐあっ!」
 そして、嵐を突き抜けてソルダーズにダメージを与える。
「どうだ!」
 レオンセイバスターはソルダーズを挑発するように爪を向けて構える。
「ディスペアマグナム!」
「!!」

ズドオン!!

「ぐわっ!」
 だが、その瞬間にゴルヴォルフからの攻撃を横から受けてしまい、倒れてしまう。
「俺の存在を忘れちゃ、困るぜ」
 ゴルヴォルフはレオンセイバスターに返すように中指を立てた。
「ファイヤーバスター!!」
「!!」
 直後に、グレートファイナルセイバスターが両腕のバスター砲から炎の弾を打ち出した。
 それを察知したゴルヴォルフはなんとかかわすものの、翼にわずかな火傷を負ってしまう。
「ならば、その言葉をそのままお前に返そう」
「へっ、やってくれるじゃねーか……」
 ゴルヴォルフはグレートファイナルセイバスターを見て不敵な笑みを浮かべる。
「だが、最後に勝利するのは我らだ」
「いくぜ! ダークナイトメア!!」
「破壊の竜巻、トルネードカッター!!」
 ゴルヴォルフとソルダーズが同時に攻撃を仕掛けてきた。
「!!」
「ハッ!」
 だが、その攻撃をファントムが刀で斬り裂き、消滅させた。
「くっ!」
「お前の弱点は……」
「何っ!?」
 それと同時にファントムはソルダーズに近づき、
「ぐわっ!」
「己の鎧の力を過信し、攻撃の直後にわずかな隙ができることだ」
 弱点を突きながら刀で腕を斬り落とした。
「そして、お前は……」
「なっ!?」
 続けてゴルヴォルフの方を向くと、
「く、来るな!!」

ズドォン! ドォン!

 ゴルヴォルフの攻撃をかわしながら近づき、

ズバァァッ!!

「ぎゃあっ!」
「一つ一つの攻撃が単純だ」
 両翼をソルダーズと同じように刀で斬り落とす。
「く……」
「なめやがって……」
 傷ついた二人が憎しみの目でファントムをにらむ。
「私を、なめるな!!」
「ふざけんなよ!!」
 その時、ソルダーズとゴルヴォルフが同時に勇者たちに向かって襲い掛かってくる。
「くっ!」
「勇者たちよ、ここは私に任せろ」
「ファントム!?」
 すると、ファントムが勇者たちの前に立ってソルダーズとゴルヴォルフに向かって構えを取った。
「ムン!」
 ファントムは二本の刀を縦に構え、
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「幻影の……」
 残像を残しながら二人に近づき、
「太刀!!!」
 眼にも止まらぬ速さで二人を両断した!
「ぐ……ぐああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「ぎ……ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

ドオォォォォォォォォン!!!

 二人は激しい断末魔を上げながら爆発、消滅した。
「己を過信するものは、敗れる運命にある」
 ファントムは消滅した二人に対しての言葉を送る。
「I wish you go to the heaven」(お前が天国に行くことを願っておいてやる)
 それに対抗したのかは分からないが、瞬治もいつもどおりに決めゼリフを口にした。

 この光景を、レクイストが見逃しているわけがなかった。
「結局、使えない奴らだったか……」
 レクイストがそうつぶやいた瞬間、
『レクイストよ……』
 再びヘルゲイズの声が聞こえてくる。
「ヘルゲイズ様……」
『お前の失態も、随分と重なってきたな……』
「………………」
 レクイストは言葉を返さなかった。図星なのか、それとも反論したかったのかはわからない。
『まあ、どちらでもいい。次の手は考えてある。私を楽しませるのだ、勇者よ……』
 ヘルゲイズの笑い声が、あたりに響いた。
 その時、わずかだがレクイストの手は震えていたという……

第15話に続く


次回予告

よっ! 誠也だ。俺たちの次の任務を教えるぜ。

久々に取れた休みを使って俺達はゆっくりとすることにした。
だけど、そんな風にのんきにしていられたのもほんのちょっとの間だけだった。
デストメアの帝王ヘルゲイズが直接俺達に戦いを挑んできやがったんだ!
巨大なその姿と、圧倒的な力に俺達は苦戦してしまう。
くそ、あきらめてたまるか! ヘルゲイズだろうがなんだろうが、倒してやる!!

次回、勇者伝説セイバスター『帝王君臨』

いくぜ、セイバスター! お前たちの力を見せてやれ!

初回公開日:

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